ヒップアップなのに、お尻を揉まない? 私が鏡と手触りで確かめていること

アイキャッチはAIによるイメージです。実在の施術例や施術結果を示すものではありません。
片側だけ施術して、立ってもらう。
そして、ご自身の手で左右のお尻を触ってもらいます。
「どうですか。右と左で、何か違いを感じますか?」
そのあと、鏡でも確認していただきます。
すると、上がったように感じるという感想をいただくことがあります。
私自身も、施術した側のヒップラインが上がったように見えることがあります。
不思議に思われるかもしれません。
というのも、私はお尻の筋肉を強く揉みほぐしたわけではないからです。
では、いったい何をしていたのでしょうか。
私が意識していたのは、骨盤の後ろの靱帯
ヒップアップと聞くと、お尻の筋肉を鍛えたり、揉みほぐしたりする方法を思い浮かべるかもしれません。
でも、私がこの施術で意識しているのは、少し違う場所です。
「仙結節靱帯(せんけっせつじんたい)」。
骨盤の後ろ側にある、丈夫な結合組織です。

仙骨や尾骨の近くから、坐骨結節という骨の部分へ向かって広がっています。
私は解剖図でこの靱帯の形や位置を確認し、頭の中に立体的に思い描きます。
そして最初に決めるのが、施術のゴールです。
今回は、ヒップラインを美しく見せたい。
その目的をはっきりさせてから、靱帯を意識したマニピュレーションを行います。
ただ靱帯の名前を知っているだけではありません。
何を目指すのか。そのために何を意識し、どう身体に触れるのか。
私にとっては、この組み合わせが重要なのです。
実は、肘や前腕を使って施術しています
ここで、私の施術方法を少しお話しします。
これまで「ごく柔らかいタッチ」と説明してきましたが、実際には指先だけを使っているわけではありません。
仙結節靱帯を意識したヒップの施術では、肘や前腕を使うことが多いのです。
ただし、肘で体重をかけて、ぐいぐい押し込むわけではありません。
私には、独自の身体の使い方があります。
前腕で触れながら、接触の中心を滑らかに移していくような使い方をします。
大切なのは、単純に強く押すことではありません。
自分の姿勢を整え、相手の身体に余計な圧をかけず、滑らかに接触を移していく。
このとき私が意識しているのは、リズムです。
身体の中に、波が伝わるような感覚
このリズムを説明するのは、なかなか難しいのですが、私には波のように感じられます。
接触を移していくと、相手の身体の中に、ゆったりとした波が伝わっていくような手応えがあるのです。
私は、その反応を指先や前腕の感覚で捉えながら施術します。
ときには、身体の内部が大きく動くように感じることもあります。
もちろん、実際に靱帯がどれだけ移動したのかを確認しているわけではありません。
でも、私にとっては非常に大切な施術感覚です。
強く押し込むと、相手の身体が身構えてしまうことがあります。
私はそうした反応をできるだけ避けたいので、施術するときの姿勢や力の伝え方にもこだわっています。
ただ、ここで一つ付け加えておきたいことがあります。
私は、強い刺激を使う施術をすべて否定しているわけではありません。
強い施術を好む方もいらっしゃいますし、私自身も状況に応じて力の強さを変えることはあります。
重要なのは、力が強いか弱いかだけではなく、どのように身体へ働きかけるかだと思っています。
そして、もう一つ。頭の中では何をしているのか
私の施術には、手や肘の使い方だけでは説明できない部分があります。
それが、イメージです。
仙結節靱帯の形を、解剖図から立体的に思い描く。
そして、目指すヒップラインをイメージする。
私自身は、こうした視覚的なイメージを使う感覚を「右脳を使う」と表現しています。
そこに、独自のエネルギーに関する考え方や、組織の名前を小さく囁くことなども組み合わせます。
つまり、私の施術には二つの面があるのです。
一つは、身体への実際のマニピュレーション。
もう一つは、その間に何を意識し、どんな状態を目指しているかということです。
私は、この両方を大切にしています。
「本当に上がったの?」と聞かれたら
私は、施術後の確認をとても大切にしています。
片側を施術したら、お客様にご自身の手で触ってもらう。
そして、立って鏡を見てもらう。
実際に、上がったように感じるという感想をいただいたこともあります。
私自身、この方法はヒップアップを目指す施術として十分に可能性があると感じています。
ただし、その感想だけで、靱帯そのものが変化したとか、お尻の脂肪や筋肉が持ち上がったと断定できるわけではありません。
では、何が変わったのでしょう。
姿勢でしょうか。
骨盤周辺の身体の使い方でしょうか。
それとも、皮膚や周囲の組織の張り、触れたときの感覚なのでしょうか。
私には、まだ解明できていない部分があります。
でも、長年の施術の中で、お客様がご自身の身体に違いを感じる瞬間を何度も経験してきたことは、私にとって大切な事実なのです。
エステティシャンの方へ。今の手技を変える必要はありません
ここまで読んで、
「肘や前腕を使うのは、難しそう」
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
でも、私は最初から、ご自身の手技を変えてほしいとは考えていません。
今まで身につけてきた施術方法を、そのまま使っていただいてもよいと思っています。
そのうえで、少し違う考え方を取り入れてみる。
まず、お客様が望んでいるゴールを明確にする。
次に、身体のどの組織を意識するかを考える。
そして、その組織の形を頭の中に立体的に描きながら、自分の手技を行う。
私は、そんな発想を大切にしています。
もし私が行っているマニピュレーションを体験して、身体への負担が少なく、自分にも合っていると感じたなら、その方法を学んでいただくのもよいでしょう。
手の動かし方だけでなく、施術者自身の姿勢、接触の移し方、相手の身体から返ってくるリズム。
そこにも、私が長年磨いてきた技術があります。
片側だけ試すから、面白い
お尻の筋肉を強く揉んだわけではない。
骨盤の後ろにある靱帯を意識して、肘や前腕で独自のマニピュレーションを行う。
そして立ってもらい、お客様自身に左右の違いを確かめてもらう。
上がったように感じるという感想を聞くと、私はやはりうれしくなります。
同時に、もっと知りたくなるのです。
わずかな接触の違いと、頭の中で描く解剖学的なイメージ。
そこに、どのような関係があるのでしょうか。
私が長年続けてきた施術には、まだ言葉だけでは伝えきれない部分があります。
だからこそ、美容施術者の方にも、まずは実際の感覚を体験していただけたらと思っています。
※本文は筆者の施術経験と、お客様からいただいた主観的な感想を紹介しています。仙結節靱帯への直接作用や、ヒップアップ効果の再現性を医学的に確認したものではありません。
神谷 昌志
カミヤ治療院の院長。「あなたが回復すれば、あなたの周りも元気になる。」をモットーに、心身に悩みを抱える多くの人たちの回復をサポートしている。
整形外科 理学療法室勤務
平成7年 東京医療福祉専門学校卒業「鍼灸・マッサージ師免許」取得
平成18年より 江戸川区西葛西に「カミヤ治療院」2名で開業

