エラ張りは、咬筋を揉めばいい? 私が「エラの少し前」に目を向ける理由

顎のラインに指を添える女性と「エラ張りは、咬筋を揉めばいい?」の文字を配した美容記事のAIイメージ。

「もう少し、顔を小さく見せたいんです」

エラの辺りが張って見える。写真に写ると、顔が四角く感じられる。

こうした悩みを持つ方は、私の施術でもいらっしゃいます。

生徒さんにも、このような悩みにどう対応するか、技術を教えたことがあります。

エラ張りと聞いて、真っ先に思い浮かぶのは咬筋でしょう。

奥歯を噛みしめたとき、エラの辺りで硬くなる筋肉です。

その硬さに触れると、つい揉みほぐしたくなるかもしれません。

でも、私が最初に考えるのは別のことです。

この方は、どんな顔の輪郭になりたいのだろう。

筋肉を柔らかくすることが目的なのか。

それとも、鏡に映る顔をもう少し小さく見せたいのか。

私は、まずそこを決めます。

咬筋の少し前に、もう一つの構造がある

今回、エラの周囲の解剖を改めて考えてみて、気になった組織があります。

「咬筋皮膚靱帯(こうきんひふじんたい)」です。

少し難しい名前ですね。

簡単にいうと、咬筋の前側の縁に沿う辺りで、頬の表層組織を支えている結合組織です。

解剖学の研究では、筋膜や顔の浅い層とのつながりが説明されています。ただし、細かな位置や呼び方には研究者による違いがあります。

咬筋皮膚靱帯の位置関係を示す解剖イメージ・模式図
記事理解のための解剖イメージ・模式図です。美容効果や作用を示すものではありません。

私が面白いと思うのは、ここです。

エラの硬さを感じたからといって、咬筋だけを見なくてもよい。

その少し前には、別の支持構造がある。

「この組織を意識すると、施術の手応えはどう変わるのだろう」

そんな疑問が湧いてきます。

もちろん、この靱帯がエラ張りの原因だという意味ではありません。

むしろ、顔を小さく見せたいという目的に対して、どんな組織を意識するか。その選択肢を広げたいのです。

触れる場所と、頭の中で意識する場所

私の施術で大切なのは、手の動きだけではありません。

まず、目指す状態を頭の中で思い描きます。

次に、その目的に合うと思う解剖学的な構造を選び、立体的にイメージします。

私自身は、これを「右脳を使って身体をイメージする」と表現しています。

実際の脳活動を測定したという意味ではなく、言葉だけでなく、映像のように身体の構造を捉える感覚です。

そして、ごく柔らかいタッチでマニピュレーションを行います。

私の技術には、組織の名前を小さく囁くことや、独自のエネルギーに関する考え方も含まれています。

ここで一つ、伝えておきたいことがあります。

触れる力が小さいからといって、私が感じ取る身体の反応まで小さいわけではありません。

非常に繊細なタッチでも、皮膚の下で何かが大きく動くような手応えを感じることがあります。

私は、その感覚を指先で捉えながら施術しています。

実際にどの組織がどれだけ動いたかを直接確認しているわけではありません。

しかし、施術中に何を意識し、何を感じ取るかは、私にとって重要な技術の一部なのです。

では、咬筋皮膚靱帯を意識すると?

ここからは、これから試してみたい話です。

私はこれまで、顔を小さく見せたいという悩みに対応し、そのための施術を生徒さんにも教えてきました。

ただ、今回取り上げた咬筋皮膚靱帯を意識する方法については、まだ新たな検証が必要です。

例えば、顔の片側だけを施術してみる。

その後、ご本人の手で左右の感触を確かめてもらう。

さらに鏡で、顔の輪郭を見比べてもらう。

これは、私がほかのフェイスラインの施術でも大切にしてきた確認方法です。

エラ張りについても、そんなふうに確かめてみたいと思います。

もし何か違いを感じたら、それは筋肉の硬さでしょうか。

頬の触れた感じでしょうか。

それとも、鏡に映る輪郭の印象でしょうか。

これらは別々のことです。

咬筋皮膚靱帯を意識したからといって、骨格や筋肉の大きさが変わると考えているわけではありません。

だからこそ、実際に何が違って感じられるのかに興味があるのです。

エステティシャンの方に、もう一つの発想を

エラの硬さが気になったとき。

「どのくらいの力で揉めばいいだろう」と考える前に、少し違う問いを持ってみる。

このお客様は、どんな輪郭を望んでいるのか。

その目的のために、筋肉以外のどんな組織に目を向けられるのか。

そして、解剖図の中から一つの構造を選び、立体的にイメージしながら触れてみる。

私が生徒さんに伝えている身体の捉え方には、そんな考え方があります。

今まで培ってきた手技を、すべて変える必要はないと思います。

ただ、施術中に頭の中で何を描いているか。

指先で何を感じ取っているか。

そこに、もう一つ技術を深める余地があるのではないでしょうか。

エラを強く揉んでいないのに、もし顔の印象に何か違いが生まれるとしたら。

それはなぜなのでしょう。

私自身、まだ確かめてみたいことがあります。

だからこそ、次にエラの施術をするときは、解剖図の中にある、この小さな支持構造にも目を向けてみたいと思っています。

※本記事は筆者の施術経験と新たな解剖学的着眼点を紹介するものです。咬筋皮膚靱帯を意識する施術による小顔効果や、特定組織への作用を確認したものではありません。

神谷 昌志

神谷 昌志

カミヤ治療院の院長。「あなたが回復すれば、あなたの周りも元気になる。」をモットーに、心身に悩みを抱える多くの人たちの回復をサポートしている。

【経歴】
整形外科 理学療法室勤務
平成7年 東京医療福祉専門学校卒業「鍼灸・マッサージ師免許」取得
平成18年より 江戸川区西葛西に「カミヤ治療院」2名で開業

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