首の横ジワを見ながら、私は後ろの靱帯を思い描く

——生徒さんに「指先の違い」を確かめてもらう理由
私が生徒さんに技術を教えるとき、時々、ご自身の首にそっと手を当ててもらいます。
私がごく弱くマニピュレーションしている間、指先には何が伝わってくるのか。
まずは、それを自分で感じ取ってもらうのです。
なぜ、そんな練習をするのか。
少し遠回りに聞こえるかもしれませんが、首の美容について考えるときにも、私はこの「手で感じる」ということを大切にしています。
首の前のシワなのに、気になるのは後ろ側
「最近、首の横ジワが気になってきた」
お客様や生徒さんの中にも、そんな悩みを持つ方がいます。40代くらいから、年齢とともに気になり始める方もいるようです。
ただ、首の横ジワを目立たなくしたいのか、首全体を長くすっきり見せたいのかでは、目指すゴールが少し違います。
私はまず、何を目指したいのかを考えます。
そのうえで解剖図を眺めていると、首の前側だけでなく、後ろ側の構造に目が向くことがあります。
そこにあるのが、項靱帯(こうじんたい)です。
首の後ろの中央にあり、後頭部から首の骨に沿って広がる、頭や首の支持に関わる結合組織です。

首の前側に見えるシワを考えながら、頭の中では首の後ろの靱帯を思い描く。
ちょっと不思議な話に聞こえるでしょうか。
もちろん、項靱帯が横ジワの原因だと決まったわけではありません。それを意識すればシワが消えると証明されたわけでもありません。
でも、私はこういう発想を試してみたくなるのです。
実際、今回、項靱帯を意識したごく弱い調整を少し試してみました。自分の感触としては、なかなかよい手応えがありました。
では、それが首の見え方にどうつながるのか。その答えは、もう少し確かめる必要があります。
解剖図の名前を、指先の感覚につなげる
私が施術で目を向けているのは、筋肉の硬さだけではありません。
靱帯や腱、筋膜などの結合組織、そしてファシアの広がりも意識します。
解剖図にある組織の名前と形を結びつけ、身体の中にある姿を立体的に思い描く。
そして、そのイメージを持ちながら、とても弱く手を動かします。
私自身はそこに、言葉やエネルギーに関する独自の考え方も取り入れています。
強い力で引っ張るわけではありません。指先に返ってくる小さな感覚を探っていくのです。
何かが動いたように感じる。張り方が少し変わったように思う。
もちろん、その感覚だけで、奥の靱帯やファシアが実際に動いたと断定することはできません。
それでも私にとっては、次の手の動きを考える大切な手がかりです。
「分かったつもり」では終わらせない
生徒さんにも、私はこの感覚を大切にしてほしいと思っています。
私が軽くマニピュレーションしている間、ご自身の首の辺りに手を添えてもらうことがあります。
そして、今どんな感触があるのか。先ほどと何か違いがあるのか。自分の指先で確かめてもらうのです。
「あ、何か違う気がする」
そんな小さな気づきを、自分の感覚として捉えられるようになることが大切だと考えています。
最初から正しい答えを言ってもらう必要はありません。
解剖図の知識と、指先の感覚が少しずつ結びついてくる。
私は、そこから生徒さんの施術感覚が育っていくように感じています。
首の横ジワへの施術についても、今回の項靱帯という着眼点は、まだ試している途中です。
ただ、おでこのシワと頭頂部の膜を結びつけて考えたときと同じように、見えている場所から少し離れたところに、新しい手がかりがあるかもしれません。
私が次に知りたいのは、解剖図の中で何がつながっているかだけではありません。
その組織を思い描いたとき、指先では何を感じるのか。
そして、首の見え方を気にしている方は、施術の前後で何を感じるのか。
生徒さんの手が「何か違う」と気づく。その小さな感覚の先に、まだ確かめてみたいことがあります。
※本記事は筆者の体験や指導方法を紹介したものです。指先の感覚は主観的なものであり、項靱帯の物理的変化やシワ改善効果を示すものではありません。
神谷 昌志
カミヤ治療院の院長。「あなたが回復すれば、あなたの周りも元気になる。」をモットーに、心身に悩みを抱える多くの人たちの回復をサポートしている。
整形外科 理学療法室勤務
平成7年 東京医療福祉専門学校卒業「鍼灸・マッサージ師免許」取得
平成18年より 江戸川区西葛西に「カミヤ治療院」2名で開業

