太ももはすっきりしたのに、膝の上だけお肉が残るのはなぜ?

美脚ケアで見落としやすい、膝のお皿を支える組織の話
「脚はすっきりしたんですけど、この膝の上が気になるんですよね」
美容サロンで、こんな相談を受けたことはありませんか。
太ももからふくらはぎまで丁寧にトリートメントしたのに、膝のお皿の上だけ、少しお肉が乗っているように見える。
立って鏡を見ると、膝の輪郭がぼってりしている。
特に年齢を重ねた女性にとって、膝の上のたるみは気になるものです。
スカートを履いたとき、膝の形が以前とは違って見える。
太ももの太さよりも、膝の周りの方が気になるという方もいるでしょう。
私も、こうした膝周辺の悩みを持つ方を施術した経験があります。
では、膝の上のお肉が気になるとき、施術者はどうするでしょうか。
膝上のお肉を揉みほぐす。
太ももに向かって流す。
もちろん、こうしたケアにもそれぞれの目的があります。
でも、私はここで、少し違う場所に目を向けてみたいのです。
そもそも、膝の上のお肉ばかり気にしているけれど、そのすぐ下にある「膝のお皿」は、どうなっているのでしょうか。
膝のお皿は、何に支えられている?
普段、膝のお皿のことを意識している方は、あまり多くないかもしれません。
けれど、膝は毎日何度も曲げ伸ばしをする場所です。
歩くときも、階段を上るときも、椅子から立ち上がるときも、お皿は周囲の組織と一緒に動いています。
では、このお皿は何によって支えられているのでしょうか。
ここで少しだけ、解剖学の話をします。
膝のお皿のすぐ下に、丈夫な帯のような組織があります。
お皿から、すねの骨へとつながっている「膝蓋靱帯(しつがいじんたい)」です。
さらに、お皿の左右には、薄いシートのように広がる「膝蓋支帯(しつがいしたい)」という組織もあります。

イメージしてみてください。
膝のお皿の下には、すねへとつながる丈夫な帯。
そして、お皿の両脇には、左右から支える膜のような組織。
実際には太ももの筋肉や腱も関係していますが、こうした構造を知るだけでも、膝の見方が少し変わります。
普段は皮膚やお肉ばかり見ている膝にも、その奥には、身体の動きを支える結合組織があるのです。
ただし、これらの靱帯や支帯が、膝上のたるみを直接作っているというわけではありません。
膝上の見え方には、皮膚のハリや脂肪、姿勢なども関係します。
私が注目したいのは、膝を表面だけでなく、立体的な構造として見ることなのです。
私なら、膝を強く揉むことからは始めません
私は長年、筋肉を力任せに揉みほぐすのではなく、靱帯や腱、筋膜といった結合組織を意識する施術に取り組んできました。
接触は非常にソフトです。
強く押すと、指先で感じ取れる小さな動きやリズムが、かえって分かりにくくなることがあると感じているからです。
そして、もう一つ大切にしているのが、頭の中のイメージです。
例えば、今回の膝蓋靱帯。
膝のお皿の下から、すねの骨へ伸びている丈夫な帯を、頭の中に描きます。
どのような位置にあって、どんな形をしているのか。
周囲の骨や組織と、どのようにつながっているのか。
ただ名前を覚えるのではなく、実際の身体の中にある構造として、できるだけ鮮明にイメージするのです。
私はこのようなイメージの使い方を「右脳を使うような感覚」と捉えています。
もちろん、右脳が特別に活性化することで施術効果が高まると証明されているわけではありません。
しかし、私自身は、どの組織をどのように思い描くかを、施術の重要な要素と考えています。
手技そのものを大きく変えなくても、頭の中で描いているものは変えられる。
私は、そこに面白さを感じています。
強く揉まない。その代わり、何を感じるのか
「でも、そんなに弱く触れて、何が分かるんですか?」
そう思われるかもしれません。
私が大切にしているのは、手の力を抜き、指先に伝わる小さな感触を丁寧に観察することです。
強く押していると気づきにくい、わずかな動きやリズム。
そうした感触に意識を向けていると、触れている印象が変わったと感じることがあります。
その感触が具体的にどの組織の動きなのかは、慎重に考える必要があります。
しかし、施術者が力を入れることだけに集中するのではなく、何を感じ取ろうとしているか。
そこは大切な違いだと思っています。
膝の施術でも、膝蓋靱帯やその周りの支持組織を立体的に思い描くことは、私にとって興味深いアプローチです。
ただし、イメージしただけで膝上のお肉が減ると断定することはできません。
実際の施術では、お客様がどう感じたのか、見た目や動きにどんな違いがあったのかを、一つずつ確かめる必要があります。
膝上のたるみを、鏡でどう見るか
美脚ケアで大切なのは、施術者だけが変化を感じることではありません。
お客様自身が、どう感じるかということです。
例えば、立った状態で左右の膝を見比べてみる。
膝のお皿の上の皮膚は、どのように見えるでしょうか。
膝の輪郭は、左右で同じでしょうか。
脚の立ち方を変えると、印象が違って見えることはないでしょうか。
私の施術では、片側に働きかけて反対側と比較したり、手で触れた感覚と鏡で見た印象を照らし合わせたりすることもあります。
もちろん、膝の輪郭は、立ち方や膝の曲げ方でも違って見えます。
ですから、施術前後の比較は、できるだけ同じ姿勢と条件で行うことが大切です。
膝に痛みや腫れがある場合は、美容目的の施術より、まず適切な医療的評価を優先します。
美脚ケアで、膝を素通りしていませんか?
太ももを丁寧にケアする。
ふくらはぎも丁寧にケアする。
でも、その間にある膝については、意外と深く考える機会が少ないかもしれません。
膝の上にお肉が乗っているように見えたとき。
そのお肉をどう流すかだけでなく、お皿の下や左右には、どんな組織があるのだろうと考えてみる。
そして、身体の中にある構造を立体的に思い描きながら、強すぎない力で触れてみる。
私は、こうした身体の見方を大切にしています。
文章で読むと、少し難しく感じるかもしれません。
だからこそ、こうした接触の感覚については、実際に体験しながら学べる機会にも価値があると思っています。
指先に伝わる小さな動きとは、どんな感覚なのか。
立体的に組織をイメージするとは、どういうことなのか。
「ああ、こういう感覚なのか」
そんな気づきを、施術者の方にも体験していただきたいのです。
膝の上のお肉が気になったら、まず膝のお皿の周りにも目を向けてみる。
そこから、今までとは少し違う美脚ケアの考え方が生まれるかもしれません。
※本記事は筆者の施術経験と独自の身体観察法を紹介しています。微細な接触や立体イメージによる膝上のたるみ改善、特定の靱帯の変化を保証するものではありません。
神谷 昌志
カミヤ治療院の院長。「あなたが回復すれば、あなたの周りも元気になる。」をモットーに、心身に悩みを抱える多くの人たちの回復をサポートしている。
整形外科 理学療法室勤務
平成7年 東京医療福祉専門学校卒業「鍼灸・マッサージ師免許」取得
平成18年より 江戸川区西葛西に「カミヤ治療院」2名で開業

