痩せているのに二重あご? 顎の下に「浮いている骨」があるのを知っていますか?

お肉を流すだけではない、フェイスラインの新しい見方
「太っているわけじゃないのに、横から見ると二重あごなんです」
こうした悩みを持つ女性は、意外と多いものです。
顔全体はほっそりしている。体重もそれほど多くない。それなのに、横を向いたときや、少し下を向いたときに、顎の下がもたついて見える。
私の施術院にも、こうした悩みの方が来られたことがあります。
一般的なフェイシャルなら、顎の下を優しく流したり、フェイスラインを引き上げるようなケアを考えるかもしれません。
でも私は、もう少し違うところに興味を持っています。
顎の下のお肉ばかり見ているけれど、その奥には何があるのでしょうか。
実は、そこには少し不思議な骨があるのです。
ほかの骨とつながっていない、小さな骨
顎の下、喉の少し上の奥には「舌骨(ぜっこつ)」という小さな骨があります。
形は、アルファベットのUの字に少し似ています。
この骨の面白いところは、ほかの骨と直接、関節でつながっていないことです。
筋肉や靱帯などに支えられて、周囲の組織の中に浮かぶように存在しています。
では、この小さな骨を支えているものは何でしょうか。
その一つが「茎突舌骨靱帯(けいとつぜっこつじんたい)」です。
難しい名前ですね。
簡単に説明すると、耳の奥にある骨の細い突起から、顎の下の舌骨へと伸びている靱帯です。

頭の中で、顎の下に小さなU字形の骨があり、それを奥から細い帯が支えている様子を思い浮かべてみてください。
これだけでも、顎の下は単なる脂肪や皮膚だけでできているわけではないと分かります。
もちろん、舌骨やこの靱帯が二重あごの直接の原因というわけではありません。顎下の見え方には、脂肪、皮膚の弾力、骨格、頭の角度などが関係します。
ただ、私は施術をするとき、こうした身体の奥にある構造も意識しています。
「茎突舌骨靱帯」をイメージすると、何が違うのか
私の施術には、一つの特徴があります。
筋肉を強く揉んだり、皮膚を力任せに引っ張ったりすることを中心にしていません。
靱帯や腱、膜などの結合組織を、頭の中で立体的に思い描きながら、ごく弱い接触で身体を観察していきます。
今回の茎突舌骨靱帯も、私が意識を向ける組織の一つです。
耳の奥から舌骨へ向かって伸びる細い靱帯。
その位置や形を鮮明にイメージしながら施術すると、私には、顎の下がシュッと引き上がってくるように感じられることがあります。
もちろん、これは私自身が施術中に受ける印象です。
実際に舌骨が移動したのか、靱帯の状態が変わったのか、それとも表情や首の位置によってそう見えたのか。そこまでは分かりません。
それでも、私にとっては興味深い感覚なのです。
組織の名前を小さく囁くこともありますが、必ずしも声に出す必要はありません。
大切にしているのは、どの組織に意識を向け、その形をどれだけ具体的に思い描けるかということです。
ただ触るのと、意識を向けて触るのでは?
例えば、顎の下を何となくマッサージする場合を考えてみてください。
手を動かしながら、皮膚やお肉の感触を確かめていく。
では、同じような接触でも、顎の奥にある舌骨や靱帯の位置を頭の中に描いていたらどうでしょうか。
手の動かし方を大きく変えなくても、施術者の注意の向け方は変わるはずです。
私が面白いと感じているのは、そこなのです。
強い刺激を加えるのではなく、身体が身構えないようなごく弱い接触を使う。
その中で、指先の小さな感覚を確かめながら施術する。
これは単に優しくなでることとは、私の中では少し違います。
ただし、立体的なイメージや弱い接触によって二重あごが改善する効果については、まだ検証が必要です。
また、顎の下や喉には重要な血管や神経などがあり、力任せに押し込むような施術は避けなければなりません。
変化は、お客様自身にも確かめてもらう
私が施術で大切にしているのは、自分だけで変化を判断しないことです。
施術後には、ご本人にも左右の顎の下をそっと触れてもらい、違いを感じるかどうかを確かめていただくことがあります。
施術者が「変わりましたね」と言うだけでは、十分ではないと思うからです。
お客様ご自身がどう感じたのか。
鏡で見た印象はどうなのか。
左右で触れた感覚に違いはあるのか。
そうしたことを一緒に確認します。
もちろん、触った感覚の違いが、そのまま組織の客観的な変化を意味するわけではありません。
それでも、お客様自身が自分の身体を観察することには意味があると思っています。
二重あごを見る目を、少し変えてみませんか
二重あごが気になると、どうしても「余分なお肉をどうにかしたい」と考えてしまいます。
でも、その奥には、ほかの骨と関節でつながっていない舌骨があり、それを支える靱帯や筋肉があります。
そうした構造を知ると、顎の下に触れるときの意識も変わるかもしれません。
私が美容施術者の方にお伝えしたいのは、特別な名前の靱帯を覚えることだけではありません。
目に見えない身体の構造を、頭の中で立体的に思い描くこと。
強い力を使わず、指先の感覚に注意を向けること。
そして、お客様自身と一緒に変化を確認していくこと。
その感覚を、いつか実際の施術体験の中で確かめていただけたらと思っています。
顎の下のお肉だけでなく、その奥にある小さな骨にも目を向けてみる。
そこから、今までとは違ったフェイシャルの発想が生まれるかもしれません。
※本記事は筆者の施術経験と身体観察の方法を紹介しています。特定の靱帯への微細な接触や立体イメージによって二重あごが改善する効果は、医学的に確認されたものではありません。
神谷 昌志
カミヤ治療院の院長。「あなたが回復すれば、あなたの周りも元気になる。」をモットーに、心身に悩みを抱える多くの人たちの回復をサポートしている。
整形外科 理学療法室勤務
平成7年 東京医療福祉専門学校卒業「鍼灸・マッサージ師免許」取得
平成18年より 江戸川区西葛西に「カミヤ治療院」2名で開業

