ウエストは細いのに、下半身だけ四角い。その出っ張り、実は骨盤ではありません

生成り色の服を着た女性が背中を斜めに向け、腰から太ももの付け根のラインを見せている。

太ももの付け根を横から押すより、私が気になる場所

「上半身は細いのに、下半身だけ大きく見えるんです」

こんな体型の悩みを持つ女性は、少なくないと思います。

ウエストはそれほど太くない。

でも、太ももの付け根が横に張り出して、腰から脚にかけてのラインが四角く見える。

細身のパンツを履くと、余計に目立つ気がする。

いわゆる「下半身太り」が気になる方の中には、こんな悩みを持つ方もいるでしょう。

私も施術を通して、こうした部分を気にする女性がいることを感じています。

では、この横に出っ張ったところを何とかしたいとき、どうしますか。

横からぎゅっと押し込んで、骨盤を締めたくなるかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。

その出っ張り、本当に骨盤なのでしょうか。

骨盤だと思っていたら、太ももの骨だった

脚の付け根の外側に、硬い出っ張りがあります。

ここは「大転子(だいてんし)」という場所です。

難しい名前ですが、要するに太ももの骨の一部分です。

骨盤そのものではありません。

太ももの骨は、上の方で骨盤とつながり、股関節を作っています。

大転子は、その股関節のすぐ外側にある出っ張りです。

つまり、気になっている場所は、骨盤と太ももの骨が出会う、すぐ近くなのです。

もちろん、骨格には個人差があります。

外側の張り出しも、骨の形だけでなく、脂肪のつき方や筋肉、立ち方などで見え方が違います。

ただ、これを知ると、出っ張った部分を横から押すだけではない見方ができると思いませんか。

私が注目するのは、股関節の前側

ここで一つ、面白い組織を紹介します。

「腸骨大腿靱帯(ちょうこつだいたいじんたい)」という靱帯です。

長い名前ですね。

まずは名前を覚えなくても大丈夫です。

股関節の前側に、骨盤と太ももの骨をつなぐ、とても丈夫な靱帯がある。

そう思い浮かべてみてください。

この靱帯は、股関節を支える重要な組織の一つです。

面白いのは、外側に出っ張って見える大転子とは、場所が違うことです。

大転子は股関節の外側。

腸骨大腿靱帯は、股関節の前側。

大転子と腸骨大腿靱帯の位置関係を示す解剖イメージ・模式図
記事理解のための解剖イメージ・模式図です。美容効果や作用を示すものではありません。

私が考えているのは、このように、気になる場所だけでなく、関節全体を立体的に見てみるということです。

施術すると、キュッとするような感覚

私は長年、靱帯や腱、筋膜といった結合組織を重視してきました。

特に、身体の中でその組織がどのようにつながっているかを、立体的にイメージすることを大切にしています。

今回の股関節なら、骨盤と太ももの骨のつながり。

その前側に広がる、丈夫な腸骨大腿靱帯。

そうした構造を頭の中で鮮明に思い描きながら、ごく弱い接触で身体を観察します。

私は、このあたりを意識して施術すると、キュッとまとまるような感覚を覚えることがあります。

もちろん、それは私自身が感じている施術中の印象です。

実際に大転子が内側に移動したとか、靱帯が元の位置へ戻ったということが測定できているわけではありません。

それでも、私には興味深い手応えなのです。

強い力で骨を押し込むより、身体の構造を頭の中に描きながら、ごく弱い接触で観察する。

そうした発想を、私は大切にしています。

お客様が望んでいるのは、骨を動かすことでしょうか

ところで、ここで一つ考えてみたいことがあります。

太ももの付け根が横に張り出して見える女性が、本当に望んでいるのは何でしょうか。

大転子という骨を小さくすることでしょうか。

きっと、そうではないと思います。

パンツをきれいに履きたい。

腰から脚にかけてのラインを、もう少しなめらかに見せたい。

そんな願いがあるのではないでしょうか。

だったら、施術者も出っ張りだけを見ているのではなく、全体の形を観察したいものです。

左右の脚の付け根は、同じように見えるでしょうか。

立ったとき、足先の向きはどうでしょうか。

片側に体重をかけていないでしょうか。

私の施術では、片側だけに働きかけ、反対側と比較することも大切にしています。

実際の変化を見るなら、触れた感覚だけでなく、同じ立ち方で鏡を見て確認する必要があります。

一瞬の見え方や感触が変わったとしても、それが骨の移動を意味するとは限りません。

だからこそ、丁寧に確かめたいのです。

出っ張った骨を押す前に、股関節を思い浮かべてみる

大転子が気になる。

だから、大転子を横から押す。

とても分かりやすい発想です。

でも私は、その一つ奥にある身体の構造にも、興味を持っていただきたいのです。

外側には、太ももの骨の出っ張り。

前側には、股関節を支える丈夫な靱帯。

そして、それらを取り巻く組織がある。

この全体を頭の中で思い描きながら、強い力に頼らずに身体を観察してみる。

横に出ているから、横から押す。それだけが施術ではない。

女性が気にしている下半身のラインを、今までとは違う視点で見てみる。

私はそこに、美容施術者としての新しい学びがあると思っています。

※本記事は筆者の施術経験と身体観察の視点を紹介したものです。腸骨大腿靱帯への微細な接触や立体イメージによって、大転子の位置が変化したり骨盤が矯正されたりする効果を保証するものではありません。

神谷 昌志

神谷 昌志

カミヤ治療院の院長。「あなたが回復すれば、あなたの周りも元気になる。」をモットーに、心身に悩みを抱える多くの人たちの回復をサポートしている。

【経歴】
整形外科 理学療法室勤務
平成7年 東京医療福祉専門学校卒業「鍼灸・マッサージ師免許」取得
平成18年より 江戸川区西葛西に「カミヤ治療院」2名で開業

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