目の下のクマは、血行だけが原因? 強く押さない目元ケアの新しい視点

目を閉じた女性が、目の外側から頬へ指先をそっと添えている。

「先生、この目の下のクマ、何とかなりませんか?」

フェイシャルの施術をしていると、こんな相談を受けることがあると思います。

寝不足が続いているわけでもないのに、いつも目の下が暗く見える。

疲れていないのに「疲れているの?」と聞かれてしまう。

鏡を見るたびに、目の下のクマが気になって仕方がない。

お客様にとっては、かなり切実な悩みです。

そんなとき、施術者は何を考えるでしょうか。

血行が悪いのだろうか。

むくみがあるのだろうか。

それとも、年齢によるたるみなのだろうか。

実は、目の下のクマには、いくつもの原因があります。

そして、その原因によって、見え方も違うのです。

クマには、色だけでなく「影」もある

目の下のクマというと、血行不良や睡眠不足を思い浮かべる方が多いかもしれません。

もちろん、睡眠不足や疲れによって、目の下の暗さが目立つことはあります。

皮膚の色素沈着や、皮膚を通して見える血管などが関係することもあります。

けれど、もう一つ知っておきたいのが、目の下の凹凸によってできる「影」です。

目の下に少しふくらみがあり、そのすぐ下がくぼんでいると、光が当たったときに境目が暗く見えます。

これが、いわゆる黒クマと呼ばれる状態の一つです。

例えば、顔の向きを変えたり、照明の方向を変えたりすると、クマが薄く見えることがあります。

皮膚の色が変わったわけではありません。

目の下の形と光の当たり方によって、影の見え方が変わったのです。

では、そのふくらみは、どうして生まれるのでしょうか。

目の下には、脂肪を支える薄い膜がある

私たちの目は、頭蓋骨にあるくぼみの中に収まっています。

その周りには、眼球を保護する脂肪があります。

そして、この脂肪の前方には「眼窩隔膜(がんかかくまく)」という薄い結合組織の膜が存在します。

少し難しい名前ですが、目の周囲にある脂肪を支える仕切りの一つだと考えると、イメージしやすいでしょう。

眼窩隔膜の位置関係を示す解剖イメージ・模式図
記事理解のための解剖イメージ・模式図です。美容効果や作用を示すものではありません。

年齢とともに目の周囲の支持組織や皮膚が変化すると、脂肪のふくらみが目立つことがあります。

その下にくぼみがあれば、影ができてクマのように見える場合もあります。

もちろん、眼窩隔膜だけが原因というわけではありません。骨格や脂肪の状態なども関係しています。

ただ、ここで私が興味を持つのは、目の下には普段あまり意識されない結合組織が存在しているということです。

目の下を強く揉まずに、何ができるだろうか

私が長年取り組んできた施術には、一つの特徴があります。

筋肉を強く揉んだり、骨を力任せに動かしたりするのではなく、靱帯や腱、筋膜などの結合組織を立体的にイメージしながら、ごく弱い接触で働きかけるという方法です。

そして、意識を向けている組織の名前を小さく囁くこともあります。

実は、今回この目の下の記事を考える中で、私自身も少し試してみました。

自分の目の下にそっと触れ、眼窩隔膜の位置や形を頭の中に描きながら、その名称を小さく唱えてみたのです。

すると、指先に何となく反応があり、目の下が少しシュッと上に上がるような感覚がありました。

もちろん、これはその場で私自身が感じた感覚です。

実際にクマが薄くなったのか、眼窩隔膜そのものに変化が起きたのかは、まだ分かりません。

ただ、以前から行ってきた独自の施術方法を、今回は眼窩隔膜という構造に意識を向けて試してみた。

その経験は、私にとって興味深いものでした。

身体のどの組織に意識を向けるかによって、施術中の感覚や観察がどう変わるのか。

これは、今後も確かめていきたいテーマです。

クマが薄く見えたら、本当に変化したのか?

ここで気をつけたいことがあります。

目の下のクマは、光の当たり方によって見え方が変わります。

仰向けのときと、座って鏡を見たときでも印象が違うことがあります。

ですから、もし施術前後の変化を確認するのであれば、同じ照明、同じ姿勢、できるだけ同じ顔の向きで比較することが大切です。

私の施術では、片側だけに働きかけ、反対側との違いを観察する方法も用いてきました。

こうした比較の考え方を目元にも応用できるかもしれません。

ただし、今回の眼窩隔膜については、私自身の試行を始めた段階です。お客様への具体的な結果は、これから慎重に確認する必要があります。

また、目の周囲は非常にデリケートな場所です。眼球やまぶたを押すような施術は避け、安全性を優先しなければなりません。

「クマを流す」以外の発想を持ってみる

目の下にクマがあると、どうしても血行やむくみばかり気になってしまいます。

けれど、その暗さは本当に血行だけの問題なのでしょうか。

目の下のふくらみやくぼみが作る影かもしれません。

皮膚の色の問題かもしれません。

いくつかの要因が重なっているのかもしれません。

そして、その奥には、眼窩隔膜のような支持組織も存在しています。

私が美容施術者の方にお伝えしたいのは、すぐに一つの原因を決めつけず、身体を立体的に見てみるという発想です。

「強く押せないから、何もできない」

そう考えるのではなく、まず、その場所にどんな構造があるのかを知る。

そして、実際に何が変わったのかを、丁寧に観察していく。

これまでとは違った身体の見方が、新しい技術を考えるきっかけになるかもしれません。

私は、その可能性をもう少し追いかけてみたいと思っています。

※本記事では、筆者自身の施術上の試行と観察を紹介しています。眼窩隔膜への微細な接触や囁きによるクマの改善効果は、医学的に確認されたものではありません。

神谷 昌志

神谷 昌志

カミヤ治療院の院長。「あなたが回復すれば、あなたの周りも元気になる。」をモットーに、心身に悩みを抱える多くの人たちの回復をサポートしている。

【経歴】
整形外科 理学療法室勤務
平成7年 東京医療福祉専門学校卒業「鍼灸・マッサージ師免許」取得
平成18年より 江戸川区西葛西に「カミヤ治療院」2名で開業

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