ほうれい線なのに、なぜ「上の前歯」なのか? 私が4本の指で考えていること

美容施術者向けのAIイメージ。実際の施術結果を示すものではありません。

ほうれい線を目立たなくしたい。

そう相談されたら、普通は小鼻の横から口元にかけてのシワや、頬のたるみに目が向くと思います。

ところが、私が施術するとき、頭の中で意識する場所は、必ずしもそこだけではありません。

ときには、上の前歯の根元まで思い描いているのです。

「ほうれい線の施術なのに、前歯?」

そう思われるかもしれません。私の身体調整には、こうした少し変わった発想があります。

正直に言うと、ほうれい線は難しい

私はこれまで何人かの方に、ほうれい線を意識した施術を行ってきました。

しかし、このテーマは本当に難しいと感じています。

一度施術すれば、すぐに目立たなくなる。そんな単純なものではありません。すぐにはっきりした変化が見られないこともあります。

一方で、何度か施術を重ねるうちに、ほうれい線の印象が少しずつ薄くなってきたと感じられる方もいました。

では、私は何をしているのか。

強く引き上げるのでも、指でシワを押し広げるのでもありません。使うのは親指以外の4本、人差し指、中指、薬指、小指です。

この4本を使い、小鼻の横から口元へ続くラインに、ごく柔らかなマニピュレーションを行います。口の中に指を入れる方法ではありません。

実際には伸ばさない。でも、頭の中では伸びている

ここが、少し説明の難しいところです。

私は皮膚を無理に引っ張って伸ばそうとしているわけではありません。

けれど頭の中では、小鼻の横から口元へ続くラインが、自然に伸びていくような様子をイメージしています。

そして、そのイメージを保ちながら、非常に弱く手を動かしていきます。

外から見ると大きな動きはありません。しかし私の頭の中では、身体の立体的な構造を思い描く作業が続いています。

同時に、指先に伝わる微細な手応えも大切にしています。特に意識しているのが、ファシアと呼ばれる結合組織です。

ファシアは、身体のさまざまな組織を包み、つないでいるものです。私はその存在を意識しながら、指先にどのような感触が返ってくるかを探っていきます。

手に感じたものが、特定の組織の変化であると証明できるわけではありません。それでも私にとって、立体的なイメージと指先の感覚は、切り離しにくいものなのです。

なぜ、上の前歯の根元なのか

ここで、最初の疑問に戻ります。

ほうれい線の話なのに、なぜ上の前歯なのでしょう。

小鼻の横から顔の内側を考えると、上の歯を支える骨にも目が向きます。上顎骨という骨です。その表面を覆う組織には、骨膜という名前があります。

上顎骨と骨膜の位置関係を示す解剖イメージ・模式図
記事理解のための解剖イメージ・模式図です。美容効果や作用を示すものではありません。

顔を正面から見ているだけでは、こうした奥の構造は見えません。

でも、頭の中で顔を立体的に描いてみるとどうでしょう。

小鼻の横、上唇、その奥にある上顎骨。そして上の前歯の根元。

それまで一本のシワとして見ていた場所が、奥行きのある身体の一部分として見えてきます。

私は、こうした構造も施術を考える手がかりにしています。上顎骨や骨膜が、ほうれい線の原因だと決めつけているわけではありません。

目に見える悩みの場所と、頭の中で意識する場所が、いつも同じとは限らないのです。

すぐに変わらないからこそ、考えることがある

私が施術で大切にしているのは、目的と手段を混同しないことです。

ほうれい線を目立たなくしたい。それが目的です。

上の前歯の根元や上顎骨周辺を意識することも、4本の指で柔らかく触れることも、そのために私が考えている手段の一つです。

ただ、実際の施術は、頭の中で思い描いたとおりには進まないこともあります。

一度ではほとんど変化が分からない。

それでも何回か続けるうちに、以前ほどほうれい線が気にならなくなってきたという方もいる。

私は、そうした経験を重ねてきました。

ここで、ひとつ気になることがあります。

4本の指でごく弱く触れながら、私はファシアの手応えを感じ取ろうとしています。

けれど、その手応えと、後になって感じられる見た目の印象の違いは、どこでつながっているのでしょうか。

指先では何かを感じていても、鏡に映る顔にはまだ目立った違いがない。

そんなとき、私は何を手がかりに施術を続けているのか。

ほうれい線は、今でも私にとって簡単なテーマではありません。

小鼻の横から口元へ。

わずかな距離を、4本の指でそっとたどりながら、頭の中ではもっと奥にある構造を思い描いている。

その小さな施術の中に、まだ確かめたいことがいくつも残っています。

※記載した変化の印象は個々の主観的な観察であり、ほうれい線への効果や特定組織の変化を実証・保証するものではありません。

神谷 昌志

神谷 昌志

カミヤ治療院の院長。「あなたが回復すれば、あなたの周りも元気になる。」をモットーに、心身に悩みを抱える多くの人たちの回復をサポートしている。

【経歴】
整形外科 理学療法室勤務
平成7年 東京医療福祉専門学校卒業「鍼灸・マッサージ師免許」取得
平成18年より 江戸川区西葛西に「カミヤ治療院」2名で開業

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