頬骨が出っ張ってきた? 実は「こめかみ」に変化があるのかもしれません

横顔を見せた女性がこめかみ付近へ指先を軽く添えている。

年齢とともに変わる顔の輪郭。美容施術者に知ってほしい、もう一つの見方

「昔は、こんなに頬骨が目立たなかったんですけどね……」

鏡を見ながら、そんなふうに話す女性がいます。

若い頃はふっくらしていた顔が、年齢とともに少しずつ変わってきた。

頬骨が横に張り出して、顔がゴツゴツして見える。以前よりも、きつい印象になったような気がする。

特に40代、50代になると、こうした顔の輪郭の変化を気にする方もいらっしゃいます。

私の施術院にも、このような輪郭の悩みを持つ方が来られ、実際に施術した経験があります。

さて、ここで美容施術者の方に、一つ考えていただきたいことがあります。

頬骨が目立つようになったのだから、頬骨を何とかしなければならない。

そう思うのは自然なことです。

でも、本当に頬骨そのものが出っ張ってきたのでしょうか。

実は、そのすぐ上にある「こめかみ」に目を向けると、少し違った見方ができるのです。

頬骨が目立つのは、こめかみがくぼんだから?

顔の横側を、少し想像してみてください。

目尻の外側から耳の前にかけて、こめかみがあります。

そのすぐ下には、頬骨があります。

若い頃は、こめかみから頬にかけて、比較的なめらかな丸みがあった方でも、年齢とともにこめかみがくぼんでくることがあります。

すると、どうなるでしょうか。

こめかみがへこんだ分、その下にある頬骨が、以前よりもくっきり目立って見えることがあるのです。

例えば、周りの土地が低くなれば、同じ高さの丘でも、以前より高く見えますよね。

顔でも似たようなことが起こります。

頬骨が急に大きくなったわけではなくても、周囲の丸みが失われることで、輪郭の印象が変わるのです。

もちろん、顔の骨格そのものにも個人差があり、加齢による骨や脂肪、皮膚の変化も関係しています。

ここで面白いのは、目立っている場所と、変化している場所が必ずしも同じではないということです。

頬骨が気になるからといって、頬骨ばかり見ていては、見落としてしまうことがあるのです。

こめかみと頬骨は、別々の場所ではない

では、こめかみと頬骨の周りには、どんな構造があるのでしょうか。

ここで少しだけ、解剖学の話をします。

頬の外側から耳の前へ向かって伸びる、橋のような骨があります。

これを「頬骨弓(きょうこつきゅう)」と呼びます。

そして、その上にあるこめかみには「側頭筋膜(そくとうきんまく)」という丈夫な膜があります。

側頭筋膜は、こめかみの筋肉を包み、頬骨の橋にもつながっています。

頬骨弓と側頭筋膜の位置関係を示す解剖イメージ・模式図
記事理解のための解剖イメージ・模式図です。美容効果や作用を示すものではありません。

つまり、こめかみと頬骨は、まったく別々の場所ではありません。

皮膚の奥では、骨や膜などの組織が立体的につながっているのです。

私が長年、施術で意識してきたのも、こうした身体のつながりです。

ただし、この膜がこめかみのくぼみを作る原因だというわけではありません。また、膜に触れることで、加齢によって失われた脂肪が戻るわけでもありません。

私にとって興味深いのは、目に見える輪郭の奥に、普段は意識されない構造が存在していることなのです。

私が大切にしているのは、力よりも「イメージ」

「それでは、こめかみや頬骨をどのように施術するのですか?」

美容施術者の方なら、ここが気になるところでしょう。

私の施術は、強い力で骨を押し込んだり、筋肉を揉みほぐしたりする方法とは少し違います。

接触は非常にソフトです。

ただし、単に優しくなでているわけではありません。

身体が痛みや強い刺激に反応して身構えないよう、できるだけ余分な力を加えず、微細な接触で変化を引き出すことを目指しています。

そのとき、私が特に大切にしているのが、頭の中のイメージです。

例えば、頬骨弓からこめかみに広がる膜。

その膜がどこから始まり、どこへつながり、骨をどのように覆っているのか。

解剖図をただ平面的に覚えるのではなく、実際の身体の中にある立体的な構造として思い描きます。

組織の名前を小さく囁くこともありますが、必ずしも声に出す必要はありません。

私自身は、言葉以上に、その構造をどれだけ鮮明にイメージできるかを重視しています。

いわば、目には見えない身体の内部を、頭の中で描きながら施術している感覚です。

もちろん、そうしたイメージによって特定の膜が変化する仕組みが、医学的に証明されているわけではありません。

それでも、どこに意識を向け、どのように身体に接するかは、私の施術にとって重要な要素なのです。

本当に変化したかどうかは、お客様と一緒に確かめる

施術をしていて、私がもう一つ大切にしていることがあります。

それは、施術者だけで結果を判断しないことです。

これまでの施術では、身体の片側に働きかけ、反対側との違いを比較することも行ってきました。

施術後には、まず手で触れてみる。

そして、立った状態で鏡を見てもらう。

そのとき、お客様自身がどのような違いを感じるのかを聞いていきます。

顔の輪郭を観察する場合も、鏡で確認することは重要だと考えています。

ただし、顔の凹凸は、照明や顔の角度によってかなり印象が変わります。

こめかみのくぼみや頬骨の張り出しも同じです。

ですから、変化を見るときには、なるべく同じ条件で比較する必要があります。

また、その場で見え方に変化があったとしても、それが骨や膜の変化によるものかどうかは、別に考えなければなりません。

大切なのは、思い込みではなく、実際に何が起きたのかを確かめていくことだと思っています。

出っ張った頬骨ばかりを見ていませんか?

頬骨が目立つと、お客様も施術者も、どうしてもそこに注目します。

「この出っ張りを何とかしたい」

「もっと小さな顔に見せたい」

でも、ここまでお読みいただいた方なら、少し違うことを考えるかもしれません。

その頬骨は、本当に以前より出っ張ったのでしょうか。

それとも、こめかみの丸みが変わったことで、目立つようになったのでしょうか。

そして、その周辺には、どのような骨や膜がつながっているのでしょうか。

美容施術では、つい気になる場所を直接触りたくなるものです。

でも、身体は一部分だけでできているわけではありません。

見えているところだけでなく、その周りや奥に何があるかを考えてみる。

私は、そうした発想が施術の可能性を広げると考えています。

強い力を使うことと、優れた技術であることは、必ずしも同じではありません。

大切なのは、身体をどれだけ丁寧に観察し、その構造を理解しようとしているか。

そして、実際の変化をどれだけ慎重に確かめているかということです。

頬骨が気になったら、まず、その上のこめかみを見てみる。

たったそれだけでも、お客様の顔の見え方が少し変わってくるかもしれません。

そして施術者自身も、これまでとは違う身体の見方に気づくのではないでしょうか。

※本記事は、筆者自身の施術思想と身体観察の方法を紹介するものです。特定の結合組織への微細な接触や立体イメージによって、骨格や加齢によるこめかみのくぼみが改善することを保証するものではありません。

神谷 昌志

神谷 昌志

カミヤ治療院の院長。「あなたが回復すれば、あなたの周りも元気になる。」をモットーに、心身に悩みを抱える多くの人たちの回復をサポートしている。

【経歴】
整形外科 理学療法室勤務
平成7年 東京医療福祉専門学校卒業「鍼灸・マッサージ師免許」取得
平成18年より 江戸川区西葛西に「カミヤ治療院」2名で開業

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